米下院は、AIデータセンターの急速な拡大に伴う電力系統への過重な負荷と電気料金の高騰を防止するため、大規模AI施設に対して送電網の改修・増強費用を全額自己負担させる超党派法案「Ratepayer Protection Act(H.R. 9340)」を可決しました。
本法案では、消費電力が20メガワット(MW)以上のデータセンターを対象とし、既存の送電網利用料の適正負担に加え、施設稼働に必要な新規送電線、変電所改修、系統連系設備、さらにはバックアップ用蓄電インフラの追加整備費用について、原則としてAI事業者が全額を負担することを義務付けます。
これまで適用されていた「二重課金防止」を口実とした優遇的解釈を改め、AIデータセンターが系統に与える増分コスト(Incremental Costs)を厳格に算定・徴収する連邦基準を各州の公益事業委員会に提示する内容となっています。
背景には、バイデン政権および連邦政府が進める「Ratepayer Protection Pledge(電気料金消費者保護誓約)」があります。ハイパースケーラー各社による巨額のAI投資と電力囲い込みが進む中、地域住民や一般家庭の光熱費にコストが転嫁されているとの批判が米国内で高まっていました。
すでに大手テック各社は原子力発電所との直結契約(SMR含む)や独自グリッドの構築を急いでいますが、本法案の成立により、既存の公的送電網に依存するデータセンター新設計画は巨額のインフラ拠出金を前提とした再計算を迫られることになります。
AIインフラ開発が「電力をどう確保するか」だけでなく「社会インフラコストをどう適正に分担するか」という法制度のフェーズに移行したことを示す象徴的な動きとなります(一次ソース:White House Official Statement / U.S. Congress Legislation (H.R. 9340))。
