米国の二大レコード会社であるソニー・ミュージックエンタテインメントとユニバーサル・ミュージック・グループ(UMG)は2026年10月17日、AI音楽生成プラットフォーム「Suno」を相手取った著作権侵害訴訟において、新たな法的措置に踏み切りました。独立系配信ディストリビューター最大手DistroKidに対し、Sunoを利用して制作・配信されたAI楽曲の全カタログデータの提出を求める動議を裁判所に提出しています。
DistroKidは全世界のインディーズアーティストやクリエイターがSpotifyやApple Musicなどの主要プラットフォームへ楽曲を一括登録・配信するための主要ゲートウェイとして広く利用されています。レコード会社側は、Sunoで生成された膨大な楽曲がDistroKidを通じてストリーミング市場へ大量に流し込まれ、原盤権や著作権を侵害したまま再生回数やロイヤリティを不当に吸い上げていると主張しており、その正確なタイトル数、総再生時間、得られた収益額の完全なデータ開示を迫っています。
DistroKid側はこれまで楽曲の生成手段を網羅的に追跡・分類する義務や技術的手段を持たないとして抵抗する姿勢を示しています。しかし、裁判所が開示命令を下した場合、主要音楽サブスクリプションへ流入した生成AI楽曲の総数や商業流通の実態が初めて白日の下に晒されることになります。
今回の動議は、AI開発ベンダー単体への責任追及にとどまらず、生成物を流通させて収益化を仲介するプラットフォーム全体へ法的責任の網が広がりつつあることを象徴する重大な節目として注目されています。音楽業界とAIテクノロジーの境界線をめぐる司法判断の行方に、世界中のクリエイターや配信事業者の関心が集まっています(一次ソース:Billboard 報道記事)。
