2026年8月のアップデートで加わった4つの新機能
2026年8月4日、Googleは Gemini Notebook(旧NotebookLM)の新体験を全Proユーザーへ100%展開完了したことを公式にアナウンスしました。
この新体験は、同年7月16日の「NotebookLM」から「Gemini Notebook」への改称と同時に発表されていたものです。当初はGoogle AI Ultraユーザーと一部のWorkspace法人アカウント向けの先行提供でしたが、約3週間をかけてすべてのProユーザーへの展開が完了しました。
追加された機能は4つ。それぞれがノートブックの守備範囲を一気に広げるものです。
NEW FEATURE 01📊コード実行売上データの計算・集計とグラフ描画を自動実行NEW FEATURE 02📁ファイル生成Excel・PDF・スライドを直接出力NEW FEATURE 03🌐Web検索ノート内から外部情報を即座に検索NEW FEATURE 04🔗URL一括追加リンク集を丸ごとソースに自動変換Powered by Gemini 3.5 FlashGemini Notebook 4大新機能オーバービュー
1. コード実行:ノートブック内でデータの計算と可視化が完結
各ノートブックに、安全なクラウド上のサンドボックス環境が付与されました。AIがPythonコードを記述し、その場で実行できるようになっています。
これが何を意味するかというと、アップロードした売上データや調査結果に対して「月別の推移を集計してグラフを作って」と依頼すれば、ノートブック上で計算からグラフ描画まで一貫して完了するということです。
従来はテキストでの回答しか返せなかったため、数値の加工やビジュアライゼーションは別ツールに持ち出す必要がありました。その往復がなくなります。
PROMPT / ADVICE : まずはこれを試してみよう手元にあるCSVやExcelファイルを1つノートブックにアップロードし、「このデータの月別推移を計算して、折れ線グラフで見せて」と頼んでみてください。コード実行の動作を数分で体験できます。
2. ファイル生成:Excel・PDF・スライドを直接ダウンロード
ノートブックのAIが、分析結果や整理した情報を各種ファイル形式で書き出せるようになりました。
Googleの公式発表では「スプレッドシート」と表現されていますが、現時点で実際に出力されるのはExcelファイル(xlsx形式)です。これは日本企業の多くがExcelを標準ツールとしている状況を考えると、むしろ好都合といえます。
PDF形式の学習ガイドやプレゼン用のスライドも生成でき、テキスト回答をコピペしてドキュメントに整形するという手間がなくなります。
3. Web検索:外部情報をノートブック内に引き込める
Gemini Notebookの最大の強みは、アップロードしたソースだけを根拠に回答する正確性(グラウンディング)でした。この原則は維持されたまま、必要に応じてWeb検索で外部情報を取得するオプションが加わりました。
たとえば、自社の事業計画書をソースに入れた状態で「この領域の市場規模の最新データをWebで調べて、計画書の前提と照合して」と指示すれば、社内情報と最新の外部データを掛け合わせた分析が可能になります。
ソースに基づく回答とWeb検索の結果は明確に区別されるため、情報の出どころが不明になる心配はありません。
4. URL一括取り込み:リンク先をまとめてソースに登録
ドキュメント内に記載されたURLを自動で検出し、リンク先のコンテンツをまとめてソースとして追加する機能が搭載されました。
業界レポートの参考文献リスト、社内Wikiのリンクまとめページ、調査メモに散らばったURL群。これらを1つずつ手動で登録していた作業が、一回の指示で完了します。
登録されたソースはすべて横断検索の対象になるため、大量のWebページを「質問できるデータベース」に即座に変換できます。
5. 基盤モデルの刷新:Gemini 3.5 Flash搭載
4つの新機能に加えて、ノートブックの基盤モデルがGemini 3.5 Flashにアップグレードされました。
要約の精度、長文ドキュメントからの情報抽出、指示に対する解釈の正確さが向上しています。新機能を使わない通常の質問応答でも、回答品質の向上を感じられるはずです。
一方で、モデルが高度になった分、応答速度は従来より若干遅くなっています。とくに複雑な指示を出した際にレスポンスまでの待ち時間が伸びることがありますが、品質向上とのトレードオフとして理解しておけば問題ありません。
このアップデートの意味を整理する
4つの新機能は一見バラバラに見えますが、共通するテーマがあります。それは、ノートブックの役割が「参照エンジン」から「実行パートナー」に拡張されたということです。
従来:参照エンジンテキスト形式の回答のみ出力ソース内部の検索に限定ソースは1件ずつ手動登録VS新体験:実行パートナー計算・ファイル生成で成果物を直接出力Web検索で最新の外部データを取得URL一括検出でソースを自動登録参照エンジンから実行パートナーへの進化
従来のGemini Notebookは、アップロードしたソースの中から該当箇所を検索し、テキストで回答を返すことに特化していました。たとえるなら、膨大な書棚から必要な一節を瞬時に見つけ出す、極めて優秀な検索ツールです。
今回のアップデートで加わったのは「出力する力」です。検索して見つけた情報をもとに、計算し、ファイルを作成し、外部の最新情報を組み合わせてアウトプットまで仕上げる。依頼に対してテキスト回答ではなく成果物を返せるようになった点が、根本的な変化です。
重要なのは、ソースに基づいて回答するというGemini Notebookの設計思想は変わっていないことです。計算も、ファイル生成も、すべてアップロードされたソースのデータを起点にしています。根拠のない数値を勝手に生成することはありません。
この「信頼できるソースに立脚したまま、アウトプットの幅だけが広がった」という進化の方向性が、業務利用においては極めて重要な意味を持ちます。
PROMPT / ADVICE : アップデートの概要を社内共有するにはAIチャットで「Gemini Notebookの2026年8月アップデートの要点を、技術に詳しくない上司に説明する文章として3〜4文でまとめて」と頼んでみてください。社内展開の第一歩になります。
現場で即使えるプロンプト集(シーン別)
ここからは、各新機能を業務で活かすための具体的なプロンプト例を紹介します。自社の状況に合わせてカスタマイズしてお使いください。
シーン1:アンケート集計とクロス分析をノートブックで完結させる
社内アンケートや顧客満足度調査の集計は、これまでExcelのピボットテーブルや専用ツールの操作スキルが求められる作業でした。コード実行機能を使えば、CSVファイルを1つ入れるだけで集計からクロス分析までノートブック上で完了します。
アンケートCSVをアップロードした状態で使うプロンプト:
AI PROMPT / CONFIG
このアンケートデータについて、以下の分析を実行してください。
1. 設問ごとの回答分布(件数と割合)
2. 部署別・年代別のクロス集計
3. 自由記述欄のキーワード出現頻度トップ10
結果をグラフ付きのExcelファイルにまとめてください。
集計の前提条件を冒頭に記載し、無回答の扱い方も明記してください。出力されるExcelはシート分けされた状態でダウンロードできるため、そのまま報告資料の素材として活用できます。
シーン2:議事録から次回アクションリストをExcelで抽出する
会議の議事録を入れて要約を頼む、というのは従来のGemini Notebookでもできました。今回のアップデートで変わるのは、要約にとどまらず、構造化されたアクションリストをファイルとして書き出せる点です。
議事録(テキストまたはPDF)をアップロードした状態で使うプロンプト:
AI PROMPT / CONFIG
この議事録から以下を抽出し、Excelファイルとして出力してください。
・決定事項の一覧(決定内容、関連する議題番号)
・アクションアイテム一覧(担当者、期限、タスク内容、優先度)
・未決定のまま持ち越された論点
期限が未記載のアクションには「期限未定」と明記してください。週次の定例会議が終わるたびにこのプロンプトを使えば、議事録の読み返しとタスク整理にかかっていた30分が、ほぼゼロになります。
PROMPT / ADVICE : 複数回の議事録を横断分析するには過去3回分の議事録をまとめてアップロードし、「過去3回の会議で繰り返し議題に上がっているテーマと、未完了のアクションアイテムを一覧にして」と頼むと、進捗の停滞箇所が可視化されます。
シーン3:提案書の論理構成をWeb情報で補強する
Web検索機能の実務での使いどころは、社内ドキュメントの内容を外部データで裏付ける場面です。
提案書やプレゼン資料をアップロードした状態で使うプロンプト:
AI PROMPT / CONFIG
この提案書の各セクションについて、主張を裏付ける根拠が十分か検証してください。
根拠が弱い箇所については、Webで最新の統計データや業界レポートを検索し、
引用可能なデータソース(出典URL付き)を提案してください。自分で書いた提案書を「批判的に読んで補強してくれる相手」として使うわけです。ソースに基づく分析とWeb検索を組み合わせることで、ドキュメントの説得力を効率的に高められます。
シーン4:技術仕様書から社内FAQ集を自動生成する
新しいシステムの導入時や製品リリース時に、技術仕様書をもとにしたFAQ作成は定番の業務です。ファイル生成機能を活用すれば、この作業をノートブックに任せられます。
技術仕様書やリリースノートをアップロードした状態で使うプロンプト:
AI PROMPT / CONFIG
このドキュメントの内容をもとに、社内向けFAQ集を作成してください。
・想定される質問を20問以上、カテゴリ別に整理
・回答は非エンジニアにも分かる平易な表現で
・「この仕様書の〇〇セクションに基づく」という出典を各回答に付記
PDF形式で出力してください。ドキュメントを読み込ませるだけで「こういう質問が来そうだな」という想定問答を網羅的に生成し、PDF教材として配布できます。導入後の問い合わせ対応コストを事前に下げる施策として有効です。
PROMPT / ADVICE : FAQ集の品質を高めるコツ最初に生成されたFAQに対して「この中で実際の問い合わせで頻出しそうな上位5問を選び、回答をより具体的に書き直して」と追加指示すると、実用性の高いFAQに仕上がります。
シーン5:調査レポートの参考文献をまとめてソース化する
URL一括取り込み機能は、大量の参考情報をノートブックに読み込ませたい場面で威力を発揮します。
参考文献リストや調査メモをアップロードした状態で使うプロンプト:
AI PROMPT / CONFIG
このドキュメントに記載されているURLをすべて検出し、ソースとして追加してください。
追加完了後、各ソースの概要を以下の形式で一覧にまとめてください。
・ソース名(ページタイトル)
・URL
・主要な内容の要約(3行以内)追加されたソースは、以降の質問ですべて横断的に検索されます。「この5つの記事に共通する論点は何か」「記事Aと記事Cで見解が異なる点を整理して」といった比較分析も、一度ソース化すれば一発で実行できます。
利用開始前に確認しておくべき3つのポイント
新機能を安全かつ効果的に使うために、事前に押さえておきたい事項をまとめます。
対応プランと利用環境
今回のアップデートが展開されたのは、Google AI Proプラン以上のユーザー(Web版)です。以下のURLからアクセスし、新機能が利用可能か確認してください。
AI PROMPT / CONFIG
https://notebooklm.google.com無料プランへの展開についてはGoogleが段階的な拡大を示唆していますが、執筆時点(2026年8月)では確定していません。
生成されたデータの検証責任
コード実行によって出力された計算結果やグラフは、元データの読み取り精度に依存します。とくに社外に提出する数値資料については、必ず元データとの突き合わせを行ってください。
本記事のプロンプト例に「計算の前提条件を明示する」「不確かな箇所は要確認と記載する」という指示を含めているのは、検証作業を効率化するためです。
PROMPT / ADVICE : 検算を依頼するプロンプト生成されたExcelの数値に不安がある場合は「この計算結果の検算を行い、計算過程をステップごとに表示してください」と追加で頼めば、AIが自ら検算プロセスを開示してくれます。
機密情報・個人情報の取り扱い
Web検索機能が加わったことで、ノートブックが外部と通信する経路が増えています。社内資料を扱うノートブックでは、これまで以上に情報の匿名化を徹底してください。
具体的には、取引先名はアルファベット記号(A社、B社)に、個人名は仮名(担当者X)に置き換えたうえでアップロードするのが基本です。自社のセキュリティポリシーとの整合性を確認し、判断に迷う場合は情報システム部門に相談することを推奨します。
まとめ:参照ツールから実行パートナーへ
2026年8月4日のアップデートにより、Gemini Notebookの位置づけは大きく変わりました。
コード実行、ファイル生成、Web検索、URL一括取り込みという4つの機能が加わったことで、ノートブックは「ソースを検索して回答を返すツール」から「ソースをもとに成果物を生成するパートナー」へと守備範囲を拡張しています。
基盤モデルのGemini 3.5 Flashへのアップグレードにより、従来の質問応答の品質も底上げされました。
ソースに立脚した信頼性という設計思想を維持したまま、出力できるものの幅だけが広がった。この堅実な進化が、業務ツールとしてのGemini Notebookの信頼性をさらに高めています。
まだ試していない方は、手元にある業務データを1つアップロードして、本記事のプロンプト例をコピペして実行してみてください。ノートブックがテキスト以外の成果物を返してくる瞬間に、このアップデートのインパクトを実感できるはずです。